なぜ日本の IT 産業は弱いのか
日本のIT産業が弱い理由
日本の高度経済成長期などは、世界経済に大きく迫る勢いがありましたが、今やその勢いはなく、インドや中国が、IT産業で大躍進を続ける一方で、今や日本のIT産業は「弱い」といわれています。
では、なぜ日本の IT 産業は弱いのか、理由を探っていきましょう。
世界の社会需要に対応する
日本は、いわゆる「右へ倣え」の文化で、国民性として周りに強調することを重んじられます。
それは、経営者や組織構造も同じで、自分の意志ではなく、社会に合わせるようにデータによる結論に基づいて行動します。裏を返せば、必ずそれが実現できるとわかるまで構造しない傾向があるとも言えます。
他方、アメリカや中国などの文化は、データに基づきつつも最後は中心人物が決めた方向性に向かっていきます。責任がはっきりする代わりに、現時点で曖昧な方向性でも、ありだと思えばそちらに向かっていけるわけです。
つまり世界と戦っていくためには、スピードが遅すぎるのです。いくら時間を掛けて良いものが作れたとしても、需要を他国に奪われてからでは遅いのです。
労働の中心層の環境が良くない
また日本には、年功序列、終身雇用などの独特な社会構造があります。
これにより、IT産業における現場で働く労働の中心層の環境が悪くなりやすいのです。 また、特にIT産業は今一番成長を続ける産業といっても過言ではないため、労働内容自体も密度の高いものが要求されます。
このような状況の中で、労働の中心層である20~30代の人間が続けられるわけもなく、辞めてしまう、もしくは最初から IT 産業に従事しないということが起こるため、実際に働き手が不足します。
そうして、IT産業自体が疲労していった結果、世界経済で戦う戦力がないというわけです。
日本という市場
上記の2つの理由は、IT産業に関わらず、ものづくりの世界では少し前から言われていたことです。
しかしこのような状態が続いているのは、日本という市場そのものも原因です。日本という市場は、その面積の狭さのわりに大きく、実際問題として日本市場で売れれば、それなりの成果になってしまいます。それゆえに、そもそも世界を相手にする意識が薄いのです。
加えて、島国で他国と直接接しないこともあり、他国とは違う独自の発展を遂げているため、世界需要と国内需要は絶妙に異なり、国内展開と海外展開が並行しづらい面もあります。結果として、日本のIT産業の成長の遅さにつながってしまっているのです。
インド・中国では、その社会構造が結果としてIT産業を発展させる大きな要因となったのですが、反対に日本はその社会構造によってIT産業の成長が阻害され、「弱い」といわれてしまっているのです。
特に日本の人口が頭打ちであることも併せて、「日本 のIT産業は近い将来崩壊する」とまで言っている学者もいるほどですので、日本のIT産業の今後が懸念されます。